円形脱毛症はどっち?アレルギーと自己免疫疾患の違いと共通点

こんにちは。アレルギー、自己免疫疾患は、近年増えていると言われます。両者にはどんな違いがあって、またどんな共通点があるのでしょうか。アレルギーは対策基本法ができたり、最近になって対策が進んでいます。共通点もある円形脱毛症。治療の参考になる部分は多いと思います。
近年、アレルギーや自己免疫疾患が増えていると言われます。1960年代ごろから増加しているようですね。自己免疫疾患の1つと言われるのが、円形脱毛症です。
ところで、アレルギーと自己免疫疾患の違いとは何でしょうか。同じようなものにも思えるし、違いがはっきりしないという人もいるのではないかと思います。そこで、両者の違いを理解しておくことが必要です。円形脱毛症を治すためにです。
目次
アレルギーと自己免疫疾患の違い
大きな違いは、免疫の攻撃対象の違いですね。本来、免疫は自己と非自己を見分けて、敵を決めますよね。自分の体に害のあるものは排除。害のないものは排除しないわけです。
ところがアレルギーでは、花粉症のように、体にとって害のないものにまで反応して排除しようとする。食物アレルギーは牛乳や卵のようなものに反応する。このようにアレルギーでは体外から来るもの(アレルゲン)に対して免疫が反応して起こります。
一方、自己免疫疾患は、体内のものに起こります。特定の臓器に対して免疫が反応し、攻撃する。また、全身性のものは、全身で免疫が攻撃的な活動をする。
それは本来は守るべき自分の体への攻撃です。免疫には異常な細胞が体内で生まれてしまったときに排除する役割もありますが、異常のない、正常な細胞や組織まで攻撃してしまうのが自己免疫疾患です。

Point
アレルギーと自己免疫疾患は免疫が反応する対象が違う!
両者に共通すること
アレルギーと自己免疫疾患に共通していることは、近年、増加傾向にあるということ、そして免疫の異常によって引き起こされているということです。もう1つ挙げるとするならば、なかなか解決策が見つかっていないという現状でしょうね。
だから、どうしたら治るのかもよくわからずに、困っている人も多い疾患だと言えます。

特に注目したいのは免疫の疾患のところです。アレルギーにはアトピー性皮膚炎があります。喘息もアレルギーと言われます。これらのアレルギー症状と円形脱毛症が併発することもあるんですね。これも興味深いところです。
なぜ、併発するのかは、両者が免疫の問題を原因としているからだろうと思われます。
Point
円形脱毛症とアレルギー疾患は合併することがある!
免疫異常はなぜ起こるのか
アレルギーがどのように起こるか、様々な症状があるので、一言で言うのは難しいわけですが、そのメカニズムで重要な働きをしているのが、免疫の中のT細胞というものです。
T細胞は免疫の中の一種で、その中でもヘルパーT細胞が重要です。ヘルパーT細胞は、「Th」と書かれたりします。そして、Tの後に番号が付きます。いくつかの種類があるということです。
例えば、Th0というものがあって、これはまだ何の特徴もない細胞。「ナイーブT細胞」と言われます。ナイーブT細胞は胸腺というところで、別の種類のT細胞に変わります。Th1、Th2、Th17は「エフェクターT細胞」と言われます。
Th1、Th2、Th17の各細胞は、炎症を起こしたり、細菌を排除することを仕事としています。そうやって体を守るわけですよね。
アレルギーの場合には、Th2というのが重要なんです。自己免疫疾患ではTh17が重要です。これらが強く働き過ぎると、アレルギーや自己免疫疾患が発症すると言われています。ここが確実に違いますね。

免疫の反応を抑制するTreg
逆にこれらの細胞が引き起こす攻撃を止める役割を持つものがあります。それが「制御性T細胞(Treg)」と言われる細胞です。Th1、Th2、Th17と同様にナイーブT細胞から、Tregに変わるんです。
注目すべきは、Th17細胞とTregは、その作られる過程が似ていることです。ナイーブT細胞から変化するときに、TGF-βとIL-6というサイトカインがあると、Th17細胞になります。IL-6がなく、TGF-βだけだと、制御性T細胞になると言われています。
そしてこの両者が自己免疫疾患には重要なんですね。攻撃するか、攻撃を止めるか。どちらかになるわけです。
要するに、免疫の攻撃的な働きによって、アレルギーも自己免疫疾患も引き起こされています。その時に働く免疫細胞の種類の違いがありますが、一方で止める役割をするのはTregというもの。
TregがT細胞の働きを止めきれていないということがアレルギーや自己免疫疾患の原因と言えると思います。ここはおそらく両者は共通なんですよね。
Point
アレルギーや自己免疫疾患ではTreg細胞の関わりが注目されている!
腸内細菌の働き
免疫と腸内細菌の関係は近年とくに注目されています。アレルギーでも自己免疫疾患でもTregの働きが重要でしたよね。そのTregが作られているのが腸内環境なんです。
Tregには2つの種類があります。nTregとiTregの2つです。nTregは胸腺で作られます。iTregは消化管などで、条件によって、ナイーブT細胞からTregに変わります。
腸内環境で作られるTregは、iTregの方ですよね。では、どんな環境だとナイーブT細胞がTregに変化するのか。ここが大事。Tregに変わる時に、腸内に生息する腸内細菌が働いているという研究があるんですね。

アレルギーと自己免疫疾患の治療方法の違い
アレルギーでも自己免疫疾患でも、病院で行われる治療には「ステロイド」という薬が使われます。また抗ヒスタミン剤という薬も使われます。
これは免疫の働きを抑える薬なんですね。免疫が過剰に働くことで起こっていることですから、その免疫を弱めるということ。

アレルギーでは、抗原(アレルゲン)と言われる免疫の攻撃対象が体外からやってくるので、体内の取り込まないようなことも必要とされます。花粉症でマスクをしますよね。アレルギーは皮膚で起こるものもあり、肌の保湿を行うことで、アレルゲンの侵入を防ぐこともあります。
また、最近では、除去しているよりも少しずつアレルゲンを摂り入れる方が改善には効果的だとも言われていますね。舌下免疫療法。これは免疫に認識させるという意味なのでしょう。
一方、自己免疫疾患では、もともと自分の体の一部であるものを攻撃するので、攻撃対象を取り除くことはできません。つまり、免疫を抑える方法しかないわけです。円形脱毛症で言えば、免疫を弱めるのがステロイド、免疫を別の物質に反応させるのが局所免疫療法です。

今後は、Tregを中心にした治療法も増えていくのではないかと思いますが、例えば、Tregが働きやすいような物質を体に入れてやる。または、Th2、Th17という免疫の働きを促すような物質を少なくするような薬が開発されるのかもしれません。
Th17を抑制する薬としてJAK阻害剤という薬があります。この薬は円形脱毛症に効果があるという臨床研究もありますが、薬をやめると、再発するので、薬を継続するしかないというのが実情のようです。これが私たちの望んでいることだとは到底思えません。
Point
アレルギーも自己免疫疾患も免疫を弱める薬が使われる!
アレルギーを治すための方法
アレルギーを治すにはどうするか。ここまで、アレルギーと円形脱毛症には共通点があることを書いてきました。円形脱毛症の治療にもアレルギーの治し方は参考になります。
衛生仮説というものがあるのをご存知ですか?
幼い頃に不衛生な環境で育った場合、アレルギーが起こらないというものなんですね。
この考え方には賛否があるようですが、Th1とTh2はバランスで成り立っていて、Th1が多いとTh2が少ない、Th2が多いとTh1が少ないといったような構成になります。
清潔すぎる環境だと、Th2に偏りやすいということも言われています。だから、アレルギーになりやすい。衛生面は昔とは違って、かなり清潔になりましたからね。
世の中が清潔になっていく過程と、アレルギー疾患が増えた時期が重なることから、このように言われます。それに先進国の方がアレルギーは多いんですね。これも衛生面の違いが理由だと言われるわけです。

Tregの研究でも同じようなことが言われます。幼少期に牛や馬などの家畜を飼っているような家で育った場合は、Tregの数が30%も多いのだとか。
じゃあ、不潔な生活を心がけるべきか。私はそんなに単純なものでもないだろうと正直思うんです。不衛生は病気になるという面もあるわけですしね。でも、衛生仮説は正しいような気がしています。
なぜなら、免疫と腸内細菌叢(腸内フローラ)の関係があるからです。結局、不衛生というのは、いい菌も悪い菌も含めて細菌とふれあいやすい環境なわけですよね。そういうところで過ごすことで、腸内環境にも影響がある。
私は最近、人間は菌との共存ができていないと、アレルギーや自己免疫疾患になるんだろうと思えてなりません。だいぶ、ぶっ飛びますが、人間は菌の力がないと生きていけない。これは確かなんです。少なくとも、健康に過ごすことは難しい。
そのことを証明する事例が、アレルギーや自己免疫疾患なんだと思います。
Point
衛生面が整った現代がアレルギーや自己免疫疾患を引き起こしているとも言われる!
円形脱毛症患者が感じること
私は円形脱毛症の患者です。花粉症もありますけど、どちらかと言えば、円形脱毛症の方が100倍ぐらいは深刻です。
ここで終わりにしようとしたんですが、どうしても書いておきたいことがあります。それは、アレルギー疾患と円形脱毛症に関する取り組みについて。
2014年にアレルギー疾患対策基本法というのができました。2016年にはアレルギー疾患対策推進協議会があって、対策が話し合われていました。このように少しずつですが、進んでいるようです。
これってどう思いますか?つい最近の出来事なんですよね。花粉症などのアレルギー疾患は日本人の半数に見られるというほどに増加して、それでも何も動かずにいて、やっと最近動き始めました。
厚生労働省のページにアレルギー疾患対策推進協議会での話し合いの記録が残っていますので、ぜひ読んでみてください。アレルギー疾患対策を進めるためにもかなりの課題があるんですね。これが現実だと思わなければいけません。一方、円形脱毛症はどうなんでしょうか。何か進んでいるのでしょうか。私たちがわからないところで、進めてくれている人がいるのか。よくわかりません。おそらく何も進んでいないでしょう。
この違いこそが、現状ではアレルギー疾患と円形脱毛症の大きな違いではないかと思うんです。
すごく遠回りしていませんか?
アレルギーも自己免疫疾患もよくわからいことは多い。それはそうですが、私たちが病院に行くときってどうしますか?
円形脱毛症の場合は、皮膚科に行くんですよね、普通は。花粉症の人は耳鼻科に行くのです。このページで書いたのは、共通点があるということです。それなのに、まったく別のお医者さんに診てもらっている。これが実態ですね。
免疫という点ではかなりの共通点があるのにですよ。免疫って白血球のことですからね。皮膚科や耳鼻科を受診している。これってすごく遠回りじゃないですか?
丸い円があったとして真ん中にアレルギーや円形脱毛症を治すためのものがある。それなのに、すごく外側で治療というのをやっている。こういうイメージなんですよね。
アレルギーだって全国的に対策を進めていくのは大変なようです。円形脱毛症も難しいと思いますね。私たちはこういった国の対策はあてにできないのでしょうね。つまり、自力でやるしかないんです。円形脱毛症を治すのは自分なんですよね。
Point
現状を見れば、円形脱毛症は自分で治すしかない!
まとめ
アレルギーや自己免疫疾患は、免疫の異常を原因としていますが、症状の違いだけでなく、発生過程での違いもあります。ただし、その原因としてはTregの働きが注目されています。
免疫を抑える方法での治療も行われていますが、根本的な解決になってはいません。衛生仮説といった、清潔すぎる環境が良くないといった事も言われており、腸内環境の改善も1つの解決策になるのではないかと思います。
この記事のポイント
- アレルギーと自己免疫疾患は免疫が反応する対象が違う!
- 円形脱毛症とアレルギー疾患は合併することがある!
- アレルギーや自己免疫疾患ではTreg細胞の関わりが注目されている!
- アレルギーも自己免疫疾患も免疫を弱める薬が使われる!
- 衛生面が整った現代がアレルギーや自己免疫疾患を引き起こしているとも言われる!
- 現状を見れば、円形脱毛症は自分で治すしかない!